クレンジング乳化の科学的メカニズムとは?HLB値・界面活性剤・ミセルで解説
クレンジング乳化の科学的メカニズムを示すファーストビュー
CLEANSING SCIENCE

クレンジング乳化の
科学的メカニズムとは?

「HLB値が高いほど、よく落ちてすすぎやすい」。その数字の読み方では、クレンジングの実力を見誤ります。

HLB値は、クレンジングの優劣を決める点数ではありません。
親水性と親油性の傾向を整理する指標の一つで、完成品の洗浄力や肌へのやさしさを単独で保証する数字でもありません。

乳化の中心にあるのは、油と水の境界へ界面活性剤が並び、油を水中へ分散しやすくする働きです。ただし、白濁、乳化した油滴、ミセルはすべて同じ意味ではありません。違いを分けると、成分表の一語に振り回されず、実際のなじませ方とすすぎ方まで判断できます。

この記事の答え

クレンジングは油性汚れへなじんだ後、水を加えることで処方の状態が変わり、すすぎ水と一緒に動きやすくなります。HLB値は設計を考える手掛かり、ミセルは界面活性剤の集合体、白濁は光の散乱による見え方です。完成品は、これら一語ではなく処方全体と表示された使用方法で評価します。

油と水は混ざらないからこそ
乳化には“境界を変える役”が必要

メイクや皮脂をオイルへなじませても、そのまま大量の水をかけるだけでは、油のまとまりが肌に残ったように感じることがあります。そこで油と水の境界へ界面活性剤が働き、油を細かな領域として水中へ分散しやすくします。

  • HLB値をクレンジングの総合点だと思う
  • 数値が高いほど洗浄力も高いと考える
  • 白くなればすべてミセルになったと思う
  • 白濁の強さを汚れ落ちの強さと結びつける
  • 成分名一つで完成品の使用感まで断定する

油と水は
分子の性質が違うため分かれやすい

油と水がそのままでは分離しやすいことを説明する図

水は水と、油は油とまとまりやすく、油と水の間には境界ができます。油性のメイクや皮脂は水だけでは動かしにくいため、クレンジングではまず油性成分へなじませます。

ただし、汚れがオイルへなじんだ時点はゴールではありません。次は、油をすすぎ水の中へ分散させ、肌から運び出しやすい状態へ移す必要があります。その切り替えが乳化です。

「浮かせる」と「流す」は別工程。油になじませるだけで終えず、水と一緒に動ける状態へ変えてからすすぎます。

界面活性剤は
油と水の境界に並ぶ

界面活性剤の親水基と疎水基を説明する模式図

界面活性剤は、一つの分子に水となじみやすい部分と油になじみやすい部分を持ちます。一般に水になじみやすい部分を親水基、油になじみやすい部分を親油基または疎水基と呼びます。

水を加えると、界面活性剤は油と水の境界へ向きをそろえやすくなります。油側へなじむ部分と、水側へなじむ部分をそれぞれ向けることで、油を細かく分散させ、急に大きな油の塊へ戻るのを抑えます。

角栓や皮脂が水へ変化するわけではありません。油を含む汚れが、水と一緒に移動しやすい分散状態へ近づきます。

乳化で白く見えるのは
細かな領域が光を散乱するから

乳化で油滴が細かく分散して白く見える仕組みを説明する図

透明だったクレンジングへ水を加えると、白っぽく見えることがあります。油と水の微細な領域が増え、光がさまざまな方向へ散乱するためです。

ただし、白さの濃さは洗浄力の点数ではありません。処方、使用量、水量、照明によって見え方は変わります。白くするために水や摩擦を足し続けず、製品表示と手触りの変化を終了判断に使います。

白濁は状態変化を知らせる目安の一つ。すべての汚れが落ちた証明でも、すべてがミセルへ入った証明でもありません。

HLB値で分かるのは
親水性と親油性の“傾向”

HLB値を親水性と親油性のバランスとして説明する図

HLBはHydrophilic-Lipophilic Balanceの略で、界面活性剤の親水性と親油性のバランスを整理する考え方です。一般に低い側は油への親和性、高い側は水への親和性が強い傾向として扱われます。

ここで間違えやすいのが、高いほど優秀という読み方です。作りたい乳化の型や油相に応じて、適するバランスは変わります。さらにHLBには計算法や適用範囲があり、すべての界面活性剤と完成品を一つの尺度で評価できるわけではありません。

HLBから考えられることHLBだけでは決められないこと
界面活性剤の親水・親油傾向完成品の洗浄力
乳化剤を選ぶ設計上の手掛かり肌への刺激ややさしさ
油と水のどちらへ親和しやすいかすすぎ後の感触や毛穴汚れへの適合

ミセルと乳化した油滴は
同じものではない

ミセルは、溶液中で界面活性剤分子が集まってできる集合体です。一方、乳化した油滴は、油の領域が水中へ分散し、その境界を界面活性剤が安定させている状態です。

クレンジングをすすぐ複雑な系では複数の構造や状態が関わり得ますが、「白くなった油滴=すべてミセル」と単純化はできません。実用上は、構造名を当てることより、油性汚れへなじませ、水を加え、重い感触が軽くなったら十分にすすぐ順番が大切です。

MICELLE

界面活性剤分子が溶液中でつくる集合体。

DROPLET

水中へ分散した油の領域。境界に界面活性剤が並ぶ。

WHITE LOOK

微細な領域による光散乱。構造を一つに断定する証拠ではない。

成分表だけでは
完成品の乳化性能まで読めない

成分表から、配合されている油性成分や界面活性剤の候補は確認できます。ただし、一般的な全成分表示だけでは、各成分の正確な配合量、界面活性剤の組み合わせ、製造条件、水を加えたときの相変化までは分かりません。

確認できること表示だけでは断定できないこと実際に見るもの
配合成分の名称各成分の正確な比率公式の使用量・手順
油性成分や界面活性剤の候補処方全体の乳化速度水を加えた後の手触り
表示順から得られる限定的な情報自分のメイクとの相性すすぎ後の残り方

成分名を数えて優劣を決めるより、何を落とす製品か、どの量で使うか、乳化の終了サインが説明されているかまで確認します。

ポアクリアセラムは
乳化の“理屈”を手順へ落とし込める

CHPT.9 ポアクリアセラムの乳化設計を科学的に説明する図

科学用語を知っても、洗面台で終わり方が分からなければ意味がありません。購入時に見るべきなのは、HLB値の高低より、油性汚れへなじませてから水へ切り替える手順が具体的かどうかです。

PORE CLEAR SERUM

CHPT.9 ポアクリアセラムは、毛穴汚れへ着目した角栓崩壊※クレンジングです。乾いた手と顔へ使い、気になる部分へ約1分なじませ、少量の水またはぬるま湯で手触りが軽くなるまで乳化し、十分にすすぐよう案内されています。

なじませる時間、水を加えるタイミング、手触りが軽くなる終了サインまで決まっているため、成分表を眺めて迷うだけでなく、乳化の理屈を毎晩の行動へ変えられます。

成分名の強そうな印象で選ぶ夜から、油へなじませ、水へ切り替え、軽くなったら終える夜へ。処方の価値は、再現できる使い方まで含めて判断します。

※古い角質を含む汚れを洗浄すること。

公式の使用方法、初回価格、継続条件を確認できます。

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よくある質問

Q. HLB値が高いほど良いクレンジングですか?

一概には言えません。HLBは親水性と親油性の傾向を整理する指標で、完成品の洗浄力、刺激、すすぎやすさを単独で順位づけする数字ではありません。

Q. 乳化で角栓が水へ変わるのですか?

角栓や皮脂が水へ変わるわけではありません。油を含む汚れが細かく分散し、水と一緒に移動しやすい状態へ近づきます。

Q. 白くなればミセルができた証拠ですか?

白濁だけで構造を断定できません。白さは微細な領域が光を散乱した見え方で、製品表示と手触りの変化も合わせて乳化の終了を判断します。

まとめ

クレンジング乳化は、油性汚れへなじんだクレンジングを、水と一緒に動きやすい分散状態へ変える工程です。界面活性剤は油と水の境界で働きます。

HLBは親水・親油傾向の指標であり、商品の総合点ではありません。ミセル、乳化した油滴、白濁も同じ意味ではありません。成分名一つで完成品を決めず、処方全体、公式の使用方法、手触りの終了サインまで見て選びます。

CLEANSING SCIENCE

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約1分なじませ、少量の水で乳化し、手触りが軽くなったらすすぐ。角栓崩壊※クレンジングの設計を、毎晩再現できる公式手順と購入条件まで確認できます。

※古い角質を含む汚れを洗浄すること。

監修:スマートコスメ編集部